(二)下行性投射路

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1,Tractus corticospinalis (pyramidalis) (皮質脊髄路(錐体路))Corticospinal (pyramidal) tract

 皮質脊髄路は外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路からなる。この二つは大脳皮質の運動領から起こって、内包、大脳脚、橋、延髄を通って下行する錐体路の脊髄にある部分である。延髄の下端の錐体交叉において大部分の線維は交叉して他側に移行して側索の後部を下行し外側皮質脊髄路となるが、一部は同側の前索の内側部を下行する前皮質脊髄路となる。これらの線維は前柱の根細胞の周囲に分枝して終わるものと考えられる。

2,Tractus rubrospinalis(赤核脊髄路)Rubrospinal tract

 中脳に存在する大細胞性の赤核から起こり、間もなく腹側被蓋交叉をなして他側に移行し、橋および延髄下行して脊髄に達し外側皮質脊髄路の腹側に接して下行する。この束は前柱の根細胞に終わる。運動、姿勢調節に関与する。

3,Tractus vestibulospinalis(前庭脊髄路)Vestibulospinal tract

 前庭神経核から起こり、前索の前縁に近い部を交叉せず下行して前角細胞に終わる。この束は内耳、前庭および小脳からの興奮を骨格筋に伝える。

4,他の下行性投射路

 視蓋脊髄路は上丘の神経細胞から出て交叉して、脊髄の前索を下行する。内側縦束は前正中裂の両側にあって、頭部、体幹、体肢などの位置姿勢を調整する伝導路である。網様体脊髄路は脳幹の網様体から起こり、同側あるいは対側を下行して、前柱の根細胞に終わる。
 いくつかの投射路には脊髄における体性局在が認められる。薄束と楔状束、外側脊髄視床路、外側皮質脊髄路などの体性局在については述べた。
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最終更新日:2010年12月20日