1. Vertebrae cervicales [CI-CVII](頚椎[第一頚椎~第七頚椎])Cervical vertebrae [C1-C7]

 脊柱上部の7個の椎骨。ナマケモノ2種を除くすべての哺乳類の頚椎は7個で共通している。第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)は特異的な形をしているが、他の5個の頚椎は共通の特徴をもつ。第3~第7頚椎は下位のものほど大きいが、椎体は小さくて丈が低く、上・下面は前後に圧平された楕円形をしている。椎弓はやや横に張り出し、椎孔の形は三角形に近く、その内径も大きい。頚椎の横突起は他の椎骨に比して著しく幅が広く、かつ短い。その前半は肋骨の遺残であり、後半は本来横突起であって、上面では両者の間に脊髄神経溝がみられる。横突起の前後両部の間を、横突孔というかなり大きな孔が貫通しており、椎骨動脈が通っている。頚椎の棘突起は台7頚椎を除いて、一般に短小であり、ほぼ水平であるが、下位のものほど斜め後下方に傾斜する。棘突起の尖端は、多くは二分しており、その間を項靱帯が上下に走る(第6頚椎では二分が不明瞭なことがあり、第7頚椎では二分していない)。第7頚椎の棘突起は長大で、尖端が結節状に肥厚しており、皮膚の上から容易に触知できるので隆椎とよばれる。頚椎の上および下関節突起は丈が低く、前者は後上方に、後者は前下方に向かっており、下位の頚椎ほど突起の傾斜が著しい。第7頚椎では横突起の前半部が遊離していることがあり、頚肋という。

 

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図(1) 左が上方からみた第3~6頸椎  右が側方からみた頸椎

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第7頸椎 は大きな棘突起をもっており、この棘突起は頚部で最初に皮膚を通してふれる脊椎の棘突起として注目される。第7頸椎 はこのため隆椎と呼ばれる。

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 第一頚椎(環椎)は、ほかの頚椎と比べて特殊な形をしていしている。環椎(第一頚椎)には椎体と棘突起は存在せず、短い前弓と長い後弓および外側塊の三つの部分が大きな椎孔を囲んでいる。前弓は椎体の前縁部に相当し、前面中央には前結節が、後面の中央には歯突起窩がある。後弓は椎弓に相当する部分で、後面の中央には棘突起に相当する部分で、後面の中央には棘突起に相当する後結節がある。外側塊は前弓と後弓を結合する分で著しく肥厚している。外側塊からは外側へ向かってかなり大きい横突起が出ており、横突起の基部には比較的内頚の大きな横突孔がある。外側塊の上面には長楕円形の上関節窩が、下面には平らな下関節窩があって、それぞれ後頭骨の後頭顆、軸椎の歯突起がおさめられてりう。後半の部分は本来の椎孔に相当し、三角形状である。頭上に天空を支えるギリシャの神Atlas(Titan)にちなんで命名された。

 軸椎(第二頚椎)上半部は特異的な形をしており、犬歯によくにた歯突起が上方に突出している。これは本来環椎の軸体であり、発生の途中、椎体の周辺部から分離し、軸椎体と結合したものである。歯突起の前後面にはそれぞれ前関節面、後関節面があり、前者は軸椎の歯突起窩に、後者は環椎横靱帯と対向する。頭蓋の回旋運動は歯突起を軸とする環椎の回旋運動にによって行われる。椎体上面の上関節面は対向する環椎の下関節面の形によく似て円形平坦である。また、椎弓は強大であり、下椎切痕も著明であるが、上椎切痕は明らかでない。横突起はやや小さく、尖端では後結節だけが認められる。

最終更新日:2010年12月20日