(二)Pelvis(骨盤)Pelvis

 骨盤の骨格は2つの寛骨と仙骨からなる三分性骨性輪である。大骨盤は2つの腸骨翼から形成され、内臓中心を背側に容れる。小骨盤はすべての骨性骨盤の要素を含み、骨盤内蔵を容れる骨盤を骨盤腔を取り囲む。anatomy1c3-2-6.jpg (22404 バイト)
 上部の大骨盤と下部の小骨盤を区分する分界線は岬角より弓状線および恥骨櫛を経て恥骨結合上縁に至る。寛骨領域では仙腸関節から恥骨結合にいたる強い骨梁「中心骨梁」に対応し、その外側には寛骨臼がある。また、分界線は仙骨にかかる体重を大腿骨頭に伝える。中心骨梁前部は恥骨結合に生じる張力を吸収する。中心骨梁の頭尾に骨性の枠組みが付く。大骨盤では腸骨翼の肥厚縁、小骨盤では恥骨枝と坐骨枝によってこの枠組みがつくられる。これらは梁枠組みの中間部は筋の起始として役立ち、骨盤の安定性にはあまり重要ではない左右の分界線を合わせると、全体として卵円形の骨盤上口をつくる。
 骨盤上口の入口部のなす平面は正常な起立姿勢のとき、水平面とは60度をなす(骨盤傾斜)。しかし、骨盤は体の姿勢を変えることなくかなり傾けたり水平にしたりできる。それは骨盤位置の変化を腰椎-仙骨の角度を変えることで代償できるからである。これに対し、骨盤下口は尾骨尖端、坐骨結節、恥骨下枝により凸凹の多い曲線で縁どられる。

女性骨盤の大きさ

 産道の前後径は骨盤下口の正中径、約9cmで最小となる。しかし、児頭は尾骨を約2.5cm押し返すことができる。結果として産道さの最狭部は岬角-恥骨結合内面間にあり、これを婦人科的結合線という。直接この長さを測れるのは解剖標本のみで、女性では約11cm(>男性)である。

骨盤の性差

 成人では骨盤に性差が現れる。女性骨盤としての形状は思春期において女性ホルモンの影響下につくられる。
成熟婦人の骨盤上口は円形あるいは横長楕円形である。男性では岬角がより腹側に突出し、骨盤上口はハート形をしている。
恥骨下角は男性で最高90度である。女性では恥骨結合が低く、恥骨弓が弓状に丸く、恥骨下角は90度を越える。
閉鎖孔における最大径は男性では縦径であるのに対し、女性では横径である。
左右坐骨結合間距離は男性よりも女性で大きい。
女性の仙骨は男性より幅広い。左右の仙腸関節腔距離は、女性では縦径と大きくはかわらない。
anatomy1c3-2-1.jpg (30532 バイト)

anatomy1c3-2-2.jpg (26282 バイト)

anatomy1c3-2-3.jpg (23931 バイト)

anatomy1c3-2-4.jpg (22370 バイト)

anatomy1c3-2-5.jpg (17261 バイト)

最終更新日:2010年12月20日