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一、頭、頸のリンパ管とリンパ節
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二、上肢のリンパ管とリンパ節
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三、胸部のリンパ管およびリンパ節
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四、腹部のリンパ管とリンパ節
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五、骨盤のリンパ節およびリンパ管
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六、下肢リンパ節およびリンパ管
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一、頭、頸のリンパ管とリンパ節 戻る
(一)頭部のリンパ節
頭部のリンパ節は大部分は頭、頸部の移行する所に輪状に位置し、頭部の浅リンパを集め、外頸リンパ節に注ぐ。
1,Nodi lymphatici occipitales(後頭リンパ節)Occipital lymph nodes
後頭部の皮下にある。後頭、頸部のリンパを集める。
2,Nodi Lymphatici retroauriculares(耳介後リンパ節)Retroauricular lymph nodes
胸鎖乳突筋上部の表面にある。耳介後面、頭頂部のリンパを集める。
3,Nodi Lymphatici parotidei superficiales et profundi(浅および深耳下腺リンパ節)Parotid
lymph nodes
耳下腺の実質中および被膜上にあり、頭頂前部、耳介、外耳道、鼓膜および耳下腺のリンパを集める。
4,Nodi lymphatici submandibulares(顎下リンパ節)Submandibular lymph nodes
顎下腺の付近にあり、顔面部および口腔のリンパを集める。
5,Nodi lymphatici submentales(オトガイ下リンパ節)Submental lymph nodes
オトガイ下にあり、舌尖、下唇、オトガイなどのリンパを集める。
(二)頸部のリンパ節
1,Nodi lymphatici cervicales anteriores(前頚リンパ節)Anterior cervical lymph
nodes
浅リンパ節と深リンパ節からなる。舌骨下、喉頭、甲状腺の前にあり、これらの器官からのリンパを集める。その輸出リンパ管は外側頸リンパ節に注ぐ。
2,Nodi lymphatici cervicales laterales(外側頚リンパ節)Lateral cervical lymph
nodes
(1)Nodi lymphatici cervicales superficiales(浅外側頚リンパ節【浅頚リンパ節】)Superficial
cervical lymph nodes
胸鎖乳突筋の表面にて、外頸静脈に沿って数個を数える。
頸部浅リンパ管および耳介後リンパ節からのリンパを集め、深頸リンパ節に流入する。
(2)Nodi lymphatici cervicales profundi inferiores(《下》深外側頚リンパ節(深頚リンパ節))Inferior
deep cervical lymph nodes
約20個のリンパ節で、内頸静脈に沿って上下に連なっている。上部にあるものは咽頭後壁にあり、咽頭後リンパ節と呼ばれる。中部にあるのは副神経に沿って、下部のものは外側へ鎖骨下動脈および腕神経叢に沿って、鎖骨上リンパ節と呼ばれる。胃癌あるいは食道癌の場合では癌細胞は胸管および左頸リンパ本幹を通って左鎖骨上リンパ節に転移することもある。深頸リンパ節は全頭部からのリンパを受ける。なお、舌、喉頭、食道、気管頸部、甲状腺、胸壁上部および乳房上部の輸出リンパ管が合して、頸リンパ本幹ができ、左側の頸リンパ本幹は胸管に、右側の本幹は右リンパ本幹に開口する。通常開口する所には弁を欠く。
上肢の浅リンパ管は多く、浅静脈に伴い、皮下を走る。深リンパ管は深部の血管に伴う。浅・深リンパ管は腋窩リンパ節に注ぐ。上肢のリンパ節は肘リンパ管と腋窩リンパ節からなる。
(一)Nodi lymphatici cubitales(肘リンパ節)Cubital lymph nodes
上腕骨の内側上顆の上方にあり、1-2個を数える。尺側皮静脈に伴い、上行する。手および前腕尺側のリンパを集める。その輸出リンパ節は上腕血管に沿って、腋窩リンパ節に注ぐ。
(二)Nodi lymphatici axillares(腋窩リンパ節)Axillary lymph nodes
腋窩リンパ節は腋窩内で、血管、神経束に沿って15-20個があり、つぎの5群に分かれる。外側リンパ節は腋窩動脈、静脈の周囲にあり、全上肢のリンパを受ける。胸筋リンパ節は外側胸動脈、静脈の周囲にあり、前胸壁、前外側腹壁および乳房外側と中央部からのリンパを受ける。肩甲下リンパ節は腋窩後壁にあり、後頸部および胸廓後壁からの輸入管を受ける。中心リンパ節は腋窩の脂肪組織内にあり、上記3群からの輸出管を受ける。上リンパ節は腋窩静脈の内側に沿って、中心リンパ節の輸出管および乳房上部からのリンパ管を受ける。その輸出リンパ管の大部分は合して、鎖骨下リンパ本幹をつくり、小部分は鎖骨上リンパ節に注ぐ。鎖骨下リンパ本幹は上リンパ節の輸出管からなり、左側のは胸管に、右側のは右リンパ本幹に注ぐ。
(一)胸壁のリンパ節
胸骨旁リンパ節などがある。胸骨外側で内胸動静脈に沿って存在する。胸、腹壁と乳房内側部のリンパを集める。
(二)胸部内臓のリンパ節
1,Nodi lymphatici mediastinales anteriores(前縦隔リンパ節)Anterior
mediastinal lymph nodes
胸部大血管および心膜の前面にあり、胸腺、心膜、心臓、横隔膜および肝臓からのリンパを受け、輸出リンパ管は気管枝縦隔リンパ本幹に流入する。
2,Nodi lymphatici mediastinales posteriores(後縦隔リンパ節)Posterior
mediastinal lymph nodes
胸大動脈および食道に沿って存在する。食道および胸大動脈からのリンパを受け、輸出リンパ管は直接に胸管に流入する。
3,気管、気管枝および肺のリンパ節
数が多い。肺リンパ節は肺実質内にて気管枝の分岐部、肺動静脈の分岐部に存在する。肺からのリンパを受け、輸出管を気管枝肺リンパ節に送る。気管枝肺リンパ節は両側の肺門にあって、輸出管を上および下気管・気管枝リンパ節に送る。上、下気管・気管枝リンパ節の輸出管は気管旁リンパ節に流入する。
左右の気管旁リンパ節および前縦隔リンパ節の輸出管はそれぞれ合して、左、右の気管枝縦隔リンパ本幹をつくり、右側は右リンパ本幹に、左側は胸管に流入する。
(一)腹壁のリンパ管とリンパ節
前腹壁の浅リンパ管は上方からでるものは腋窩リンパ節に、下方からでるものは浅鼡径リンパ節に入る。後腹壁の深リンパ管は腰リンパ節に入る。腰リンパ節は腹大動脈および下大静脈の周囲にあり、30-50個を数える。後腹壁からのリンパを受けるほかに、なお腹腔内有対臓器および総腸骨リンパ節からのリンパを受け、輸出管は腰リンパ本幹となり、乳び槽に注ぐ。
(二)腹腔無対臓器のリンパ管とリンパ節
1,腹腔動脈に沿ってみられるリンパ節
左、右胃リンパ節は左、右胃動脈の周囲にあり、小弯のリンパを集める。左、右胃大網リンパ節は左、右胃大網動脈に沿ってあり、大弯で胃体の前後両面からのリンパを集める。幽門リンパ節は幽門の上下に見られ、右胃大網リンパ節の輸出管、小弯、幽門部、十二指腸上部および膵頭からのリンパ管を受ける。肝リンパ節は肝門の外で、総肝動脈および総胆管に沿ってみられる。肝臓および胆嚢からのリンパを受ける。膵リンパ節および脾門リンパ節は脾動脈に沿ってみられ、膵体、膵尾、左胃大網リンパ節および脾の被膜からのリンパ管を集める。
上述のリンパ節の輸出管は腹腔リンパ節に流入する。腹腔リンパ節は腹腔動脈の根部にあり、その輸出管は腸リンパ本幹を助成する。
2,上腸間膜動脈およびその枝に沿ってみられるリンパ節
これに属するのは腸間膜リンパ節、回結腸リンパ節、右結腸リンパ節および中結腸リンパ節である。以上の諸群はそれぞれ同名動脈に沿ってあり、その動脈の流域のリンパを集め、輸出管は上腸間膜リンパ節に流入する。上腸間膜リンパ節は上腸間膜動脈の根部にあり、輸出管は腸リンパ本幹を助成する。
3,下腸間膜に沿ってみられるリンパ節
これに属するのは左結腸リンパ節、S状結腸リンパ節および上直腸リンパ節である。以上の諸群はそれぞれ同名動脈に沿ってあり、動脈の流域からのリンパ管を集め、輸出管は下腸間膜リンパ節に流入する。下腸間膜リンパ節は同名の動脈の根部にあり、輸出管は腸リンパ本幹を助成する。腸リンパ本幹は腹腔リンパ節、上下腸間膜リンパ節の輸出管が合してでき、乳び槽に注ぐ。
(一)Nodi lymphatici iliaci externi(外腸骨リンパ節)External iliac lymph nodes
外腸骨リンパ節は外腸骨動・静脈に沿ってみられ、浅・深鼡径リンパ節、前下腹壁からの深リンパ管、さらに膀胱、前立線あるいは子宮頸、膣などからのリンパ管を受ける。
(二)Nodi lymphatici iliaci interni(内腸骨リンパ節)Internal iliac lymph nodes
内腸骨動脈およびその分枝に沿ってみられ、骨盤壁、骨盤内臓、会陰、大腿後面および殿部からの深リンパ管をうける。
(三)Nodi lymphatici sacrales(仙骨リンパ節)Sacral lymph nodes
仙骨リンパ節は正中仙骨動脈に沿ってみられ、骨盤後壁、直腸および前立腺などからのリンパ管を受ける。
以上諸群リンパ節の輸出管は総腸骨リンパ節に流入する。総腸骨リンパ節は総腸骨動脈の周囲にあり、上述の輸出管を受け、さらに、下肢、骨盤壁および骨盤内臓からのリンパを集める。その輸出管は左・右の腰リンパ節に注ぐ。
下肢の浅リンパ管は数が多く、皮下にみられるが、深部のリンパ管は深部の血管に伴走し、両方とも深鼡径リンパ節に入る。下肢のリンパ節はつぎの2群に分かれる。
(一)Nodi lymphatici popliteales(膝窩リンパ節)Popliteal lymph nodes
膝窩にて、膝窩動脈・静脈のまわりにみられ、足の外側縁および下腿後側にある浅リンパ管、足と下腿の深リンパ管を受け、輸出管は大腿動脈、静脈に沿って上行し、深鼡径リンパ節に入る。
(二)Nodi lymphatici inguinales superficiales(浅鼡径リンパ節)Superficial inguinal lymph nodes
伏在裂孔の近くにあって、大腿筋膜の浅葉の上に位置し、前腹壁下部、殿部、会陰、生殖器および下肢からのリンパ管を受け、輸出管は深鼡径リンパ節に入る。
(三)Nodi lymphatici inguinales profundi(深鼡径リンパ節)Deep inguinal lymph nodes
大腿静脈に沿ってみられる。浅鼡径リンパ節の輸出管および下肢の深リンパ管を受け、輸出管は外腸骨リンパ節に入る。
最終更新日:2010年12月20日