三、神経系に関する主な名称

 神経系の全体は無数の神経元の集合体であるが、これらの神経元はけっして雑然と集まっているのではなく、整然とした配列と分布を示している。
 大体において、神経細胞体は中枢神経系(脳と脊髄)にだけあって、末梢神経はそれから発する神経線維の束にすぎない、ただし知覚性脳脊髄神経にはその経過中に神経細胞の集団をもっており、また自律神経系では、末梢にも至るところに神経細胞の集団をみる。

 中枢神経の構造

 中枢神経系では、神経細胞体は一定の集団を作って存在する、その場合は軟らかく、灰色に見えるというところからこれを灰白質という。その色調の原因はここに神経細胞体が集まっているためばかりではなく、この部の神経線維が無髄性であるからである。灰白質は脊髄では中心部に柱状をなして存在するが、大脳と小脳では実質の表層にある。これを皮質という。ただし脳の内部にはこのほかになお大小多数の独立した灰白質の塊が散在している。これらの灰白質の塊は神経細胞の形態や機能にも類似しているから、神経核と呼ばれる。中枢神経系では灰白質以外の部は神経線維のみを含んでおり、この部分は白っぽいので白質という。大脳半球や小脳では深部が白質であり、それぞれ大脳髄質、小脳髄質という。脊髄では周辺部にあり、前索、側索および後索と呼ばれる。

 末梢神経系の構造

 末梢神経は原則的には神経線維の束であるが、末梢神経にも神経細胞が集団を作っている場所があり、これを神経節という。これには2種類のものがある。一つは知覚性の神経節で、他の一つは自律神経の神経節である。神経線維束はその構造の上から3段階に分けられる。第一次束は幾本かの線維が神経内膜という結合組織で強くまとめられたもので、その横断面は不正形または多角形である。神経内膜は次第に分かれて最後には個々の神経線維を包んでいる。第1次束がまたいくつか集まって神経周膜で包まれ、第2次束を作る。この第2次束の周囲および第二次束の集団は神経上膜という結合組織膜で補強されている。

最終更新日:2010年12月20日