(四)脳幹の網様体

 脳幹網様体は延髄、橋、中脳の被蓋に位置している。種種の方向に入りこんで走る神経線維網とその網目を充たす神経細胞とからなっているから、いわば灰白質と白質との混成体である。そのうち神経細胞群だけを指すときにはこれをとくに網様核と呼ぶ。網様核は脳幹の長軸に平行な3本の柱を成して配列している。すなわち、縫線核群「無対」、内側核群「有対」、外側核群「有対」である。縫線核群は正中矢状面に、内側核群は被蓋の中央部に外側核群は外側部に位置する。
 脳幹網様体は上行性網様体賦活系を通じて大脳皮質に影響を及ばし、意識レベルの調節にとって重要である。縫線核は睡眠、覚醒のリズムの調節にも関与している。網様体は横紋筋の緊張と反射活動の制御に関与している。網様核は原始的な核で、諸種の運動伝導路に関係していて、呼吸の調節中枢や咳、クシャミ、嚥下、嘔吐などの反射中枢はこの網様核内に存するものと考えられる。

最終更新日:2010年12月20日