2,Hypothalamus(視床下部)Hypothalamusの内景

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 視床の前下方にあり、第3脳室の下側壁をなす。灰白質に富んだ諸部からなり、自律神経の最高中枢をなす。前、中、後の3部に分かつ、多くの神経核があるが、その後部には左右の大脳脚にはさまれて1対の半球状の乳頭体があり、その内部の灰白質は主として嗅覚伝導路に関係している。乳頭体の前には正中線に漏斗という突起部があり、その先端に小指先大の下垂体がついている。視床下部の中には視索上核・室旁核・隆起核をはじめいくつかの小核が含まれていて、これらは自律機能の中枢として重要な役割を演じている。しかしそれらの解剖学的関係ことに線維結合については、まだ不明の点が少なくない。
 視床下部の視索上核と室旁核の神経細胞には特殊な染色を行なうと一種の分泌物が認められる(神経分泌)。この分泌物は後葉ホルモンないしその前駆物質で、上記の神経細胞の突起(この神経線維束を視索上核下垂体路および室旁核下垂体路とよぶ)の中を伝って後葉に運ばれ、必要に応じて血管内に放出される。
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下垂体前葉を支配する動脈は隆起部に侵入して特殊な毛細血管のル-プを形成し、このル-プが下垂体漏斗の中に頭を出して、上記の神経分泌線維に接近している。この毛細血管は細静脈となって下降し、再び前葉の中に毛細血管として散らばるので、下垂体門脈糸とよばれている。神経分泌物の一部は毛細血管ル-プからこの血管系にとりこまれ、前葉の内分泌機能に影響を与えることが可能であると考えられる。

室周層

 漏斗核(弓状核、隆起核): 漏斗核および近傍の核からの線維は主として隆起下垂体路として漏斗(正中隆起)における下垂体門脈系血管起始部に至り、これを介して下垂体前葉ホルモン調節因子を分泌し、また、一部は直接に後葉に達する。

視床下部の前部で室周層と内側核群の間

 室傍核: 視床下部の前方の背側部において第三脳室壁近くある明瞭な核で視索上核とおなじく大細胞性である。下垂体後葉にオキシトシンを分泌

視索の背外側および腹内側にみられる核

 視索上核: 視索前端部の背側にあるある核で、一般に視床下部の神経核は主として散在性の小細胞あらなるものであるが視索上核と室傍核は例外的に密集した大型の神経細胞からなる。下垂体後葉にバソプレッシンを分泌

内側核群

 視索前核: 性腺刺激ホルモン(下垂体)分泌の制御

 背内側視床下部核(背内側核): 脳弓の外側にあり小型または中等大の細胞よりなる。空腹中枢を含む(副交感神経と関与)

 腹内側視床下部核(腹内側核): 脳弓の外側にあり小型または中等大の細胞よりなる。満腹中枢を含む(副交感神経と関与)

 後核: 乳頭体の背側において、視床下部の後部にある核で、主として小細胞性であるが散在性にやや大きな細胞を含む。交感神経系に連絡

 乳頭体核: 乳頭体核は乳頭体の内部にある核で、さらに小細胞性で乳頭体の主部をなす乳頭体内側核と大細胞性で外側をしめる小さい乳頭体外側核とに分けられる。嗅覚と自律神経との関係にあずかる重要な核である。大脳辺緑系と連絡、感情形成に関与

外側核群

 外側核: 脳弓の外側にある。交感神経と関与

その他

 視床下核: 視床下核は視床下部の後外部において黒質の前外方にあり、両面凸のレンズ状をしていて、おそらく植物性作用と錐体外路性との両作用を有し、錐体外路性が主な作用であると考えられている。 

最終更新日:2010年12月20日