6,Norma facialis(前面観)Norma facialis

(1)前頭
(2)眼窩
(3)鼻腔
(4)副鼻腔
(5)口腔

 

 この部は前頭骨と各顔面骨が見られる。上から下へ前頭部、眼窩、骨性の鼻腔と口腔からなる。anatomy1b3-11.jpg (14532 バイト)

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(1)Frons(前頭)Forehead 戻る

 眼窩以上の部分で前頭鱗で作られている。両側に前頭結節があり、下方に眼窩上縁と平行する眉弓がある。眉弓の間は眉間といわれる。

(2)Orbita [Cavitas orbitale](眼窩)Orbit 戻る

 眼球とその付属器を容れている四角錐状の洞窟で、顔面頭蓋と脳頭蓋とを境している。前方は大きな眼窩口によって外界に開き、後端には視神経管があって頭蓋腔に通じている。上壁と外側壁との境には後部に上眼窩裂があって頭蓋腔と交通し、まだ外側壁と下壁との境には大翼と上顎体との間に下眼窩裂があって側頭下窩と翼口蓋窩とに通じる。下眼窩裂の中部からは眼窩下溝が始まり、眼窩下管を経て眼窩下孔で顔面に開いている。涙骨の前面には涙嚢窩がある。鼻涙管はここから始まり、下行して下鼻道に通じている。

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(3)Cavitas nasi(鼻腔)Nasal cavity  戻る

 顔面の中央を占める複雑な骨格部である。自然体ではこれにさらに若干の軟骨部が加わり、これらの表面は粘膜で覆われている。骨格における鼻腔は前方は梨状口によって顔面に、後方は1対の後鼻孔によって頭蓋底に開き、正中面には鼻中隔という骨板があって鼻腔を左右に二分している。鼻中隔は上半は篩骨の正中板から、下半は鋤骨からできている。鼻腔は上方は狭く下方は広く、前頭断面では三角形をなしている。
 外側壁は凹凸の著しい部分で、貝殻のような上、中、下鼻甲介は壁から内下方に向かって垂れており、それぞれの下に上、中、下鼻道を作り、まだ鼻中隔との間に総鼻道を挟んでいる。これらの鼻道は後方で合して鼻咽道となり、後鼻孔を経て外頭蓋底に開く。鼻咽道の外側壁には蝶口蓋孔があって外方に向かって翼口蓋窩に通じ、下鼻道の前端の近くには眼窩から下行してきた鼻涙管が開いている。上鼻甲介の後上方にみられる蝶形骨との間の間隙は蝶篩陥凹といわれる。

 

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(4)Sinus paranasales(副鼻腔)Paranasal sinuses 戻る

 鼻腔の周囲の骨格には多数の空洞が含まれる。これらは鼻腔に開口し、内面は鼻腔と連なる粘膜で覆われる。これらを副鼻腔と総称し、次のような4種類がある。

1)Sinus frontalis(前頭洞)Frontal sinus: 眉弓の深部に左右1対あり、後下方の中鼻道に開く。前頭洞の感覚は眼窩上神経(眼神経の枝)で伝えられる。このため、前頭洞炎の際には眼、額、頭頂にかけての領域(つまり眼神経の支配領域)の痛みとして感じる。

2)Bulla ethmoidalis(篩骨胞)Bulla ethmoidalis → Sinus ethmoidales(篩骨洞)Ethmoidal sinus: 篩骨迷路内の蜂巣のことであり、前・中・後の3群に分けられ・前・中群は中鼻道に後群は上鼻道に開口する。

3)Sinus sphenoidalis(蝶形骨洞)Sphenoidal sinus: 蝶形骨体部内の骨洞で蝶篩陥凹に開口する。

4)Sinus maxillaris(上顎洞)Maxillary sinus: 上顎骨体内の骨洞で、左右1対ある。骨洞の中で一番大きなもので、上壁は眼窩の下壁、下壁は下顎骨の歯槽部である。中鼻道に開口する。開口は底より高いため洞内の内容は直立位において流れ出るのは難しい。上顎洞の感覚は眼窩下神経と前・中・後上歯槽(上顎神経の枝)で伝えられる。上顎洞の痛みは上顎神経の皮膚支配域領域や上顎の歯痛として感じられる。

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(5)Cavitas oris(口腔)Oral cavity 戻る

 骨性の口腔は上顎骨・口蓋骨・および下顎骨からなる。上壁は骨口蓋で、前壁と外側壁は上顎骨および下顎骨の歯槽部で囲まれている。底は軟組織に塞がれている。

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最終更新日:2010年12月20日