(一)Cingulum membri inferioris [Cingulum pelvicum](下肢帯)Pelvic girdle

 下肢帯は成人においては即ち寛骨であり、腸骨、坐骨、恥骨が融合してできたものである。自由下肢骨を体幹に連ねるとともに、その運動にあずかる。

1,Os coxae [pelvicum](寛骨)Hip bone

 青春期の頃までは腸骨坐骨恥骨の3骨が区別され、互いに軟骨結合をしているが、成人では軟骨部が骨化して3個の骨はたがいに癒着し、1個の寛骨になる。3個の骨の会合部は寛骨外側面の中央に円い陥凹部を作り、これを寛骨臼という。股関節の関節窩である。

anatomy1c3-1-1.jpg (42457 バイト)

anatomy1c3-1-2.jpg (47811 バイト)

anatomy1c3-1-3.jpg (33687 バイト)

1)Os ilii [Ilium, Os iliacum](腸骨)Ilium

 寛骨の上部を占めている不規則な形をした骨で、その上方に向かって広がっている部分を腸骨翼といい、下部の肥厚している部分を腸骨体という。体は寛骨臼の上の2/5をつくる。翼の自由縁を腸骨稜といい、内面は浅くくぼんで腸骨窩となり、腸骨窩の下の境を弓状線という。後半部は仙骨との関節面で、これを耳状面という。翼の上縁の前端には上前腸骨棘という突出部があり、その直下には下前腸骨棘がある。上前腸骨棘から5-7cm距離の腸骨稜に腸骨結節がある。翼の後端には後上腸骨棘と後下腸骨棘がある。

2)Os ischii [Ischium](坐骨)Ischium

 寛骨の後下部を作る骨でこれに坐骨体と坐骨枝が区別される。体は寛骨臼の後下部の2/5を作る。体は寛骨臼に接するところから後下方に突出して坐骨結節と名付ける円い肥厚部までのことで、枝は体の前上方に連なる鈎状の部分である。なお体の後縁には鋭い坐骨棘があって、その上下に大坐骨切痕と小坐骨切痕とができている。

3)Os pubis [Pubis](恥骨)Pubis

 寛骨の前下内側部を占めている骨で、これに恥骨体と恥骨枝とを区別する。体は寛骨臼の前下の1/5を作り、それから上枝が前内方に続く。上枝と腸骨体との境には腸恥隆起という高まりがあり、まだ内側端は恥骨結節となって肥厚している。下枝は上枝から鈎状に曲がっていて、結合部は坐骨枝に続いている。恥骨上枝の上面には鋭い骨稜があって恥骨櫛という。恥骨結節から正中部までの鈍い上縁は恥骨稜といい、恥骨上枝と下枝の結合する内側面の楕円形の粗末面は恥骨結合面といって、左右の恥骨は正中線で線維軟骨板によって連結する。この部分を恥骨結合という。
 寛骨臼は腸骨、坐骨、恥骨3骨の体で作られ、寛骨臼内の半月形関節面は月状面といい、臼底の陥凹は寛骨臼窩という。寛骨臼縁の下部に寛骨臼切痕というくぼみがある。坐骨と恥骨とで囲まれた孔を閉鎖孔といい、自然体では結合組織性の閉鎖膜が張っていて、その内側には内閉鎖筋、外側には外閉鎖筋がある。

anatomy1c3-1-4.jpg (46658 バイト)

anatomy1c3-1-5.jpg (28746 バイト)

anatomy1c3-1-6.jpg (38695 バイト)

最終更新日:2010年12月20日