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一、肺の位置および形態 |
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二、気管支の分岐および肺区域 |
肺は呼吸器系中最も重要な1対の臓器で、胸腔の左右両半を充たし、右肺が左肺より大である。弾性に富み、軟かく、形は円錐の内側部を切り取ったものに似ている。肺の表面を被う被膜は、葉間からさらに葉内に入り、肺組織を小葉に分ける。成人肺の表面はまだらで、肺の地色は淡い石板青を呈し、これにいろいろな大きさの暗色斑点がみられる。すなわち、表面に斑点を生じ、塵埃煤煙などの吸入によって特に著明となる。
肺の表面は、肺胸膜によって覆われ平滑で、これを肺尖、肺底および2面、3縁に区別する。
肺尖は肺の上端で鈍円をなし鎖骨を越えて2-3cm上方に突出し、胸膜頂におおわれる。肺底(あるいは横隔面)は、肺の下面で横隔膜の上にのり、その円蓋に応じて上方に強く弯入し、とくに右肺において著しい。肋骨面は、肋骨に接する肺の外面である。内側面は縦隔に向かう面で、一般にやや陥凹しているが、心臓に対する部位は深く凹み、ここを心圧痕といい特に左肺において著しい。心圧痕の後上方に胸膜に覆われない部があり、これを肺門といい、気管支、血管、リンパ管、神経などが出入する。肺門を出入する脈管、神経群が結合組織に包み込まれた状態を肺根と呼ぶ。
肺の前縁は鋭い縁をなし、左肺ではその底部に近い所に心臓による心切痕を生じている。心切痕に沿う左肺の一部は心臓との間に圧平される。これを左肺の小舌という。肋骨面が横隔面に移行する縁、すなわち下縁も鋭い縁をなすが、脊柱の両側に対する後縁は丸くなる。
肺は、後上方から肋骨面にしたがって前下方にまわって走る深い切れ込みによって肺葉に区分される。この裂溝を斜裂という。右肺では、そのほかに肋骨面の腋窩線で主切痕から分かれてほとんど水平に前へ進み、肺の前面に達する浅く短い切れ込みがあり、右肺の水平裂という。以上の裂溝によって、左肺は上葉および下葉の2葉に、右肺は上葉、中葉および下葉の3葉に分けられる。
左、右両側の気管支は、肺門で一定数の気管支枝に分岐する。これらの各気管支枝は、次記のごとく分岐して各葉に分布する。葉気管支→区(域)気管支→区(域)気管支枝→細気管支→小葉間細気管支→終末細気管支→呼吸細気管支→肺胞管→肺胞嚢→肺胞。各肺葉の気管支の分枝を区域気管支といい、それぞれの区域気管支に所属する小さい肺部を肺区域という。左、右肺とも10区域に分けられる。
右肺 | 左肺 | ||
上葉: | 1,肺尖区 | 上葉: | 1,2,肺尖後区 |
2,後上葉区 | |||
3,前上葉区 | 3,前上葉区 | ||
中葉: | 4,外側中葉区 | 4,上舌区 | |
5,内側中葉区 | 5,下舌区 | ||
下葉: | 6,上-下葉区 | 下葉: | 6,上-下葉区 |
7,内側肺底区 | 7,内側肺底区 | ||
8,前肺底区 | 8,前肺底区 | ||
9,外側肺底区 | 9,外側肺底区 | ||
10,後肺底区 | 10,後肺底区 |
最終更新日:2010年12月20日