C,Vesica urinaria(膀胱)Urinary bladder

 膀胱は尿を一時ためておく嚢である。その形状、大きさおよび壁の厚さはその中の尿量によって著しく影響される。生体における尿容量の平均は約300~500ml、最大尿容量は約800mlとされる。

一、膀胱の形状
二、膀胱の位置

一、膀胱の形状

 膀胱を上部の膀胱尖、下部の膀胱底、およびその中間部の膀胱体に区別する。膀胱の上端は上前方に向い膀胱尖という。底部は下後方に向かって三角形を呈し膀胱底という。膀胱体は膀胱の大部分を占め、尿道が出て行く部位を膀胱頸という。
 膀胱の内面は空虚時には多くのひだを示すが充実時には全くこれを見ない。膀胱底には尖端を内尿道口に向け、底辺を左右の尿管口をつなぐ線とする正三角形の部がある。この部は内容の充実度とは関係なくその表面はつねに平坦で膀胱三角という。尿管口からは左右の低い尿管間ひだが三角の尖に向かって走る。膀胱三角の先端は膨らみながら尿道の始部後壁を下行し膀胱垂となる。膀胱三角は腫瘍および結核の好発部位とされている。

二、膀胱の位置

 小骨盤腔中にあって恥骨結合の後側に位置し、上方から腹膜に覆われ、後方は男では直腸、精嚢、精管に、女では子宮および膣に接している。下方は尿生殖隔膜の上にのる。膀胱の上端は尿が相当量に達した場合でも恥骨結合の上縁を越えることは少ないが、尿充満時や胎児・小児ではこれよりも上方に位置する。

最終更新日:2010年12月20日