B,Organa genitalia masculina externa(男の外生殖器)External malegenitalia

 外生殖器(外陰部)に属するのは、陰嚢、陰茎、尿道である。

一、Scrotum(陰嚢)Scrotum
二、Penis(陰茎)Penis
三、Urethra masculina(男の尿道)Male urethra

一、Scrotum(陰嚢)Scrotum

 陰嚢は精巣、精巣上体および精巣の被膜の最外層をなす皮膚で、精巣の下端において精巣導帯と結合する。正中部の表面はやや隆起する暗褐色の陰嚢縫線をなし、その内部は陰嚢中隔につづく。陰嚢の皮膚は薄く伸縮性が強く、一般の外皮に比して色素に富み、大きな毛包腺、汗腺が多量に存在し、成人では毛が生じる。

二、Penis(陰茎)Penis 戻る

 陰茎は陰茎根、陰茎体および亀頭の3部に区別される。陰茎根は陰茎の基部で広い基底をもって坐骨、恥骨の下枝に固定され、その前方につづく陰茎体は陰茎の主体をなし、円柱状を呈し恥骨結合の前下方に懸垂し、皮膚に包まれる。陰茎亀頭は陰茎体の前端につく鐘状の肥厚部で、その尖端には矢状位に裂隙状をなし開口する外尿道口がある。亀頭は陰茎体とは僅かに絞扼された亀頭頸によって境される。
 陰茎の内部には、2種3個の海綿体組織がある。

1,Corpus cavernosum penis(陰茎海綿体)Corpus cavernosum penis

 陰茎体背側にある左、右1対の海綿体で、白膜によって包まれ、基部は陰茎脚として坐骨および恥骨の下枝に固定される。陰茎海綿体の前方は尖端をなし、亀頭後面の凹部に嵌入する。

2,Corpus spongiosum penis(尿道海綿体)Corpus spongiosum penis

 左右の陰茎海綿体の下面に接する不対の海綿体で、円柱状を呈し陰茎海綿体に比して細く、内部に尿道を囲む。その後端は、膨大して尿道球となり、尿生殖隔の前下面に密着する。前端部は著しく膨大して鐘状をなし、陰茎亀頭といい、陰茎海綿体の前端を包む。
 3個の海綿体はそれぞれ結合組織性薄膜、陰茎海綿体白膜および尿道海綿体白膜によって包まれ、海綿体の内部は、縦横に交錯結合して海綿状をなす強靱な結合組織からなり、平滑筋繊維に富む陰茎海綿体小柱および尿道海綿体小柱と、その間の網状の間隙で互いに連絡する陰茎海綿体洞および尿道海綿体洞からできている。海綿体白膜はさらに共同の陰茎筋膜に覆われて皮膚と緩く結合する。
 陰茎を包む皮膚は柔軟で伸展性に富み下床に対して移動しやすく、根部には毛を生ず、その先頭部は包皮となって亀頭を包む。包皮は皮膚の二重層で、その内葉は亀頭頸で亀頭表面の皮膚に移行する(移行皮)。また、陰茎体の下面の皮膚は亀頭への移行部の正中線で包皮に向かって矢状に走る薄いひだをなし、これを包皮小帯という。人により包皮を後方に反転し得ないものがある。これを包茎という。

三、Urethra masculina(男の尿道)Male urethra 戻る

 男の尿道は、膀胱内の尿を体外に排出する管で、同時に輸精道を兼ねる。膀胱の前下端に始まって亀頭の尖端に開口する。長さは約16-22cm、径は約5-7mmである。尿道を前立腺部・隔膜部および海綿体部の3部に区分する。

1,Pars prostatica(前立腺部)Prostatic part of urethra

 前立腺内を貫く部で、その長さは約2、5 cmである。後壁の正中部には長い粘膜隆起があり、これを尿道稜という。稜の中央において米粒大に紡錘状に肥厚した部分があり、これを精丘という。精丘の前面中央には裂隙状の小盲嚢があり、これを前立腺小室といい、その両側に1対の射精管が開き、さらにその両側には前立腺管の開口が多数(15-30個)みられる。

2,Pars membranacea(隔膜部)Membranous part of urethra

 尿生殖隔膜を通過する部分で、短くその長さは1cm余で、しかも内腔は狭く、その周囲は輪走する横紋筋性の尿道括約筋によって囲まれる。

3,Pars spongiosa(海綿体部)Spongy part of urethra

 尿道海綿体を通過する最も長い部分で、拡張性に富む。尿道海綿体の後端部は球状で膨大部をなしている。尿道はその前端部において拡張して舟状窩をなす。
 尿道はその経過中2個の弯曲、3個の狭窄部、3個の拡大部を示す。膀胱直下の恥骨後曲は後下方に凸面を描き、これにつづく恥骨下曲は前上方に凸面を描く。三つの狭窄部はそれぞれ内尿道口、隔膜部および外尿道口である。三つの拡張部は前立腺部、尿道球および尿道舟状窩にある。

最終更新日:2010年12月20日