Actioforma とは
Actioformaとは「動きや機能」と「形態や構造」、その両者が有機的に融け合って生まれる「美しさ」の意味を込めた造語で、株式会社メタ・コーポレーション・ジャパンが提供する新しいブランド概念です。
Actioforma は何を目指し、
いまどこにいるのか?
メタ・コーポレーション・ジャパンは、「世界中の医学・生命科学者が持っているすべての知識をコンピュータ上に統合し、人類が“人間”というものを
より全体的に理解するための環境を提供すること」を目的に1988年に設立されました。
そのために、三次元の人体データベースの開発に着手し、人体の外形や骨格、筋肉、内臓、神経系、血管、あるいは細胞~DNAレベルなど、さらに精密なモデルへと日々進化しています。そうしたヴァーチャル化の一方で、さまざまな標本に対して立体視の撮影技術などによるデジタルデータ化も進めてきました。
深まる“知”、しかしその一方で…
現代医学や生命科学は限りない進歩の途上にあります。そのため、それぞれの最先端分野において正確に全体を見わたすことは、決して容易なことではありません。しばしば例にあげられる医学の
専門分化の弊害もその一つといえるかもしれません。
非専門家や初学者には、そうしたこと自体が最新知識を習得するにあたっての大きなバリアとなります。しかし、多次元・多要素で理解しにくい情報をさまざまな方法によって可視化することで、理解を助けることは可能です。たとえば、それが学習者の意志に応じて動くものであれば機能の把握が容易になり、自由な角度から立体視ができれば複雑な構造も直観的にとらえられます。
最先端の“知”を、その正確さを失わずに効率的に学習するには、ITを最大限活用してそれらを統合的に構造化し、そのうえで五感を通して理解するための学習環境を用意する必要があります。
つながらない“技”、知そして人と…
単に知を弄ぶのではなく、それに支えられた“技”を必要とする人々にとって、いわゆる「職人の勘」や「匠の技」をいかに受け継ぐかは大きな課題でしょう。
もちろん、経験の繰り返しによる学習が欠かせないことは当然ですが、それをより有効なものとするために、エキスパートの経験が培った暗黙知を外在化することや、技そのものを構造化することが重要だと考えられます。
経験自体の質も問題です。アクチュアルな経験も不可欠ですが、よりリアルでかつ安全(つまり、失敗に寛容)なヴァーチャル環境のなかで繰り返し可能であれば、知と技の統合や達人の技の継承もより容易になります。
そこに必ず必要な条件として、三次元の再現とインタラクティブ性があります。聴覚についてはこれまでも容易でしたが、視覚の三次元化は2009年公開の映画『アバター』以降、急速な進歩を遂げました。Actioformaの中核には、この3Dの技術が縦横に発揮されていますが、最終的には触覚を含めたインタラクティブな技の修得環境まで視野に入れています。
Actioforma を支えるもの
Actioformaには多種多様な要素をインプットすることができます。これまで培ってきた3DCGから生成されるヴァーチャルデータや立体視化されたアクチュアルデータはもちろん、たとえば医学領域であ
れば膨大な画像データベースと基礎医学や臨床医学における知見をもとに、それらを必要とされる状況にあわせて取り出せるようメタデータを付随させ、構造化します。
それらのアウトプットとしては、単に論理的な正しさだけでなく、行動レベルや感覚レベルでの正確な理解を可能とさせるため、立体視による動画といった視覚による情報だけでなく、感覚器官を通したインタラクティブな情報提供を構築していきます。
Actioformaは、そうしたことを可能にする技術であり、常に進化し続けるツールでもあります。メタ・コーポレーション・ジャパンは、これまで培ってきた独自の技術と経験を投入し、Actioformaを発展させていきます。
Actioforma の発展性と多様性
Actioformaはまた、最先端の科学的知見やエキスパートの技、あるいはその適用のプロセスで生ずる諸産物、などの多次元にわたる要素をインプットとし、その総体に働きかけるいわば“演算子”です。
そこから生み出されるプロダクトは、自在に操れる3DCGのシェーマや解剖図はもちろん、たとえば、それらと走査電子顕微鏡写真、あるいはCTやMRIからのボリュームデータとの統合、……などによって視覚情報をより多面的に提供することが可能になります。
また、時間軸に沿った動きとして統合することにより、形態と機能との有機的なつながりをわかりやすく表現できます。場合によっては触覚情報を盛り込むことすら可能です。
これらは一部の例に過ぎませんが、さまざまなインプットを構造化し、外在化し、可視化されたアウトプットに昇華させるというActioformaの発展形態は実に多様です。
Actioforma は誰のため?
Actioforma は何のため?
Actioformaによるプロダクトは、医療にかかわる専門職の養成とそれを支える学問領域の研究・開発を効果的かつ効率的なものにすること、を意図しています。
医師をはじめとした実践を伴う専門職の養成には、知識と技術が一体となって教育されることが重要です。そこには視覚や聴覚といった五感に訴える教材が欠かせません。また、医療安全が重視されるなかでは、患者に害をなさないための多様なシミュレーショントレーニングを必要としています。
一方、これまで、医学や生命科学領域の研究者にとって、それぞれの研究成果をどのように蓄積し、公共の資源として活用していくかについては、必ずしも優先度が高くありませんでした。それでは成果のほんの一部しか日の目を見ないことになります。しかし、Actioformaが提供するツールを利用すれば、膨大なデータに構造を与え、検索~利用可能にすることが容易となります。結果として、後に続く研究が効率化され、あるいは幅広い人々の関心を集めることでしょう。
また、いわゆる理科教育を含めた科学教育の刷新のためのツールにもつながります。たとえば、細胞レベルからほ乳類までのミクロからマクロ、あるいはアクチュアルからヴァーチャルの世界を自在に行き来できるようなコンテンツが生まれれば、子供たちの自発的な科学的思考能力を育み、将来の研究者の裾野を拡大させることができます。
知と技の蓄積、
その構造化の先にあるもの
Actioformaによって蓄積された知識や技術、あるいはそれらの諸産物のデータベースは、順次、検索可能なメタデータと一体となって構造化され、プロダクトのニーズに応じ任意に出力可能なものと
してコンテンツサーバーに格納されていきます。将来的には、このシステム全体を“Knowledge Organizing System”として(倫理面や知的財産権の処理のうえで)公開できるよう、システム構築を進めていく予定です。
とはいえ、そうしたことを可能とするには、メタ・コーポレーション・ジャパンという一つの私企業のミッションとして掲げているだけでは不十分です。多くの医療従事者や医学・生命科学研究者とのアライアンスが絶対に不可欠であり、宿命でもあります。それは、人間やその病気にかかわる情報そのものが、個人情報として際立つ私的財である一方で、あらゆる人が享受すべき公共財でもあるからです。
わたしたちメタ・コーポレーション・ジャパンは、Actioformaを支える技術をベースに今後さまざまなプロダクトを提供していくと同時に、その技術をツールとしても提供し、より多くの方々とのアライアンスを築き上げていくつもりです。